コロネーション・ストリート、ダウントン・アビー、などのヒットドラマの製作者であり放送局であるITVは、イギリス最大かつ最古の民間放送局です。ITVは60年以上の歴史を持ち、毎週3,800万人以上の視聴者を抱え、毎年8,900時間以上のオリジナルコンテンツを自社および世界中の放送局向けに制作しています。 

広告は、ITVに年間17億ポンド(約2,200億円)の収益をもたらしています。ITVの主任エンジニアであるAndrew Duncan氏は、通信販売(ATS)チームと協力して、この重要な収益源の管理を改善するためにテクノロジーを活用しています。「テクノロジーは我々の仕事を支えるものであり、スケーラビリティーを持って機能する必要があります。特にあらゆるものがデジタル化していく中で、様々な変化にスピーディーに対応していくためには、より多くのテクノロジーと自動化機能を駆使して、運用と人的スキルの強化をしていかなければいけません。

デジタル化が進むエンドツーエンドのサプライチェーンに合わせて、ITVの通信販売(ATS)チームは最近、広告販売を管理するための新しいソフトウェアプラットフォームへの移行を完了しました。この複雑で困難な移行を成功させる鍵となったのは、New Relicの可観測性を高める機能です。New Relicは現在、データドリブンサービスとして拡大を続けるITVのATSサービスの重要機能として登用されています。」

デジタルトランスフォーメーションを阻む壁を超える

ITVは放送局としての歴史が長いこともあり、デジタルトランスフォーメーションが急務でした。ATS部門においても5年に渡って変革を試みていましたが、非常に難航していました。同社は12の地域放送局を統合して構成されており、それぞれが独自の広告販売チーム、システム、パッケージを持っていました。

「我々が使用しているシステムの多くがレガシーであり、広告販売の仕組みも地域ごとにことなり非常に複雑でした」とDuncan氏は言います。「我々は、技術的な遅れを取り戻すために多大な時間と労力を費やしてきました。最終的な目標は、マーケットのトレンドにしっかり対応し、放送とオンラインを跨いだよりシームレスな広告プラットフォームを作り上げることです。」

Duncan氏と彼のチームは、オンプレミスのサーバーで稼働するJavaベースのアプリケーションから、AWSのパブリッククラウドで稼働するマイクロサービスを利用したソフトウェア管理プラットフォームに移行するデジタルトランスフォーメーション計画を決定しました。

しかし、ソフトウェアのリリース準備が整っていたにもかかわらず、Duncan氏のチームはこの移行に対するエンドユーザーの抵抗に直面していました。この問題を解決するために、デジタルトランスフォーメーションの重要な過程を完了させるためにNew Relicが選ばれました。

「デジタルトランスフォーメーションを阻む大きな壁を超えていく必要がありました」とDuncan氏は言います。「ATSに関わるメンバーの多くは変化を恐れていました。何らかの技術的な問題によって1.7億ポンドの広告収益が危険に晒されることを心配しており、変革は延期に延期を重ね、5年もの歳月が経過していました。このプロジェクトを進めるためには、まず信頼関係を構築する必要がありました。そこで、New Relicによってすべてを計測し、可視化することで、この変革がどれだけ重要なことであるのかを証明することができました。

「ATSに関わるメンバーの多くは変化を恐れていました。何らかの技術的な問題によって1.7億ポンドの広告収益が危険に晒されることを心配しており、変革は延期に延期を重ね、5年もの歳月が経過していました。このプロジェクトを進めるためには、まず信頼関係を構築する必要がありました。そこで、New Relicによってすべてを計測し、可視化することで、この変革がどれだけ重要なことであるのかを証明することができました。」

Andrew Duncan Principal Engineer, ITV

「New Relicを活用すれば、すべてのシステムをトレースし、パフォーマンスのボトルネックとなっている箇所を迅速に特定することができるので、ユーザーリクエストの処理に実際に何が関係しているのかを突き止め、それを修正することができます。」とDuncan氏は述べています。

クラウドへのスムーズな移行

New Relicを使用した最初の重要なテストは、300人のユーザーと放送時間の販売活動が新しいプラットフォームに移行されるというものでした。広告営業チームの間では、配信の数時間前に広告をスポット販売することが多いため、これらのシステムが中断せず、安定稼働させなければいけませんでした。

エンドユーザーを安心させるために、チームはNew Relicをアプリケーションとインフラストラクチャーのパフォーマンス監視用に、またブラウザ上でのユーザー体験を計測し、リアルタイムデータにアクセスできるようにしました。これにより、新しいアプリケーションのパフォーマンスをエンドツーエンドで監視できるようになり、問題点を迅速に特定することができるようになりました。New Relicは、新しいプラットフォームを構成する複数のシステムが相互作用している様子をモニタリングするのに特に役立ちました。

「New Relicを使ってすべてを計測した後、本番稼働に特化したダッシュボードを作成しました」とDuncan氏は言います。「ダッシュボードは、ビジネスオーナーが知りたい最も重要な事項に答えるように設計されていました。New RelicのダッシュボードをATS部門の全員と共有し、オフィスに点在する巨大なモニターに映し出しました」

ITVの誰もが、透明性を持ってこのデジタルトランスフォーメーションがどのように実行されているかを確認することができました。「広告在庫を管理するために使用していたレガシーソフトウェアを終了させ、新しいアプリケーションに完全移行する際にはみんなでカウントダウンもしました」とDuncan氏は思い返します。

New Relicを使用して明確にコミュニケーションを取れたことが、移行プロセスが滞りなく進めた要因でした。New Relicを使用することで、チームはパフォーマンスを確保し、新しいプラットフォームやパブリッククラウドへの移行がパフォーマンスに悪い影響を与えていないことをステークホルダーに証明することができました。

Duncan氏は次のように述べています。「New Reliのダッシュボードを見れば、この移行が非常にうまくいっていることがわかります。ソフトウェアの可観測性の担保を通じて信頼を築くことができなければ、新環境のリリースを成功させることはできなかったと思います。」

New Relicで1,000億円規模の広告ビジネスを管理

ATSチームはこの変革のために5年を費やしてきました。次は何に取り組むのでしょうか?

移行時に重要視されたエンドツーエンドでの可観測性は、デジタル化されたオペレーションを実行する上でも不可欠なものでした。New Relicのサポートのもと、チームはSRE(Site Reliability Engineering / サイト信頼性エンジニアリング)を取り入れ、拡張性と信頼性の高いATS用ソフトウェアシステムを構築しました。システムの稼働後、New Relicを用いてアプリケーションとインフラストラクチャーのパフォーマンスのベースラインを設定し、何が起きているかを積極的にモニタリングできるようにしました。

サービス責任者向けのダッシュボードは、ビジネスアプリケーションの開発と管理に関する社内の会話やコラボレーションの向上にも役立っています。

Duncan氏は次のように述べています。「プロジェクトの最後の数ヶ月間は緊張感があり、『開発サイド VS ビジネスサイド』という対立が存在していました。New Relicのダッシュボードは、その障壁を取り払う共通言語として機能し、ビジネスサイドがソフトウェアに何を求めているのかを一緒に議論することができました。

New Relic がソフトウェアのパフォーマンスに関するデータを可視化させたため、組織内ではいま興味深い変化が起きています。「ビジネスオーナーにNew Relicのアカウントを提供し、繁忙期にダッシュボードを見たり、基本的なクエリを実行できるようにしました。彼らはアカウントを使い続け、New Relic Universityのトレーニングを通じて、さらに多くのことを学び始めました」とDuncan氏は言います。「これにより、ビジネスオーナーはNew Relicのデータを使って、ビジネスプロセスをより理解し、改善するための実験をするようになりました」とDuncan氏は言います。

ATSのビジネスマネージャーとテクノロジーチームは現在、New Relicのダッシュボードを使用して、各チームがどのように広告在庫を販売しているのか、ITVがどのように効率的に放送時間を販売しているのか、といった問いに答えています。強力な可観測性により、テクノロジーチームは広告の管理プロセスを改善するためのパターンを見つけることもできています。Duncan氏は次のように述べています。「New Relicの醍醐味は、ユーザーが何をしているのかを見ることができることと、彼らがなぜそれをしようとしているのかを理解できることです。何を作るべきかを理解することは、ソフトウェア開発の中で最も難しい部分です。いま、私たちはこのインサイトを手に入れ、人々が何をしているかをリアルタイムで見ることができるようになりました。」

New Relicは、ソフトウェアの運用に加えてATSの広告ビジネス管理を支えています。チームはNew Relicがどのようにしてキャンペーン、放映時間、広告在庫など、より多くのビジネスオブジェクトを連携させていくか構想を広げています。

「ソフトウェアの進化は決して完成されたプロセスではありません」とDuncan氏は説明します。「私たちが学んだことは、コミュニケーション、可観測性が成功の鍵を握っているということでした。New Relicのおかげで、今ではコミュニケーションが活発になり、共通の目標に向かって仕事ができるようになりました。組織で何をしようとしているのか、また、急速に変化する市場の課題に対応するためにテクノロジーをどのように適応させるのか、よりよく理解できるようになりました。」